【委員会活動報告】

ワークショップ開催(2024年3月23日)

「当事者・家族と考える トランスジェンダー・ヘルス〜はじめの一歩〜」

2024年3月23日(土)「当事者・家族と考える トランスジェンダー・ヘルス〜はじめの一歩〜」と題したワークショップを開催しました。

JPCA会員合計21名(医師19名[うち専攻医8名]、薬剤師2名)が参加しました。

 

トランスジェンダー当事者としてLGBTQ施策推進に取り組まれている宮田瑠珂さん、トランスジェンダーの子をもつ母として活動されている浦狩知子さんをゲストにお招きし、ライフヒストリーのお話を聞いたり、参加者同士で意見交換をしたりしてトランスジェンダー・ヘルスに関する学びを深めました。

 

トランスジェンダーの患者さんに対してどのような対応を取れば良いか、診療のヒントがほしいといった声が事前アンケートで多く聞かれました。もちろん、知識的・技術的な側面はたくさんありますが、今回のワークショップでは基礎の基礎、まさに「はじめの一歩」である「当事者や家族が何に困っているのか」「何を医療に望んでいるのか」をじっくり学ぶ機会となったと思います。実際、スモールグループディスカッションや事後アンケートでは、LGBTQだからどうだというよりも一人ひとりの人権を考えられているかという問題だ、といったような意見が聞かれ、本質的な学びと振り返りに繋がったものと思います。

 

(以下、参加者の感想から抜粋)

  • 「当事者、家族の方しか分からない気持ちや悩みを聞くことができ、貴重な経験でした。普段の生活から、すべての人の人権を守るという意識を持ちたいと思いました」
  • 「困っていることに耳を傾け対応していくという姿勢が大事と聞き、普段の診療の延長であると確認できました」
  • 「講義を受ける前は、トランスジェンダーの患者に対してどのように接したらいいかわからなかったが、今日の講義を聞いてトランスジェンダーの患者でも特別な意識をすると言うよりも、患者を1人の人間として見て、多様性を受け入れるマインドを持つことが大事だと感じた」
  • 「自分がこれから当事者にどのような形で関わるかは分かりませんが(医療者として関わるかもしれませんが、家族として、親戚のおばさんとして関わるかも)、どのような形であれLGBTQだからというわけではなく、1人の人として一緒に感情を共有し、困っていれば助けになるよと伝えたいと思います」
  • 「医療従事者の立場で考えると、患者さんがトランスジェンダーであることを知っていて、かつ性別適合手術やホルモン治療の歴があることを知っていれば、それだけで病気の診断の見積もりが大きく変わることもあるし、提供できる情報もたくさんあるので、ぜひ知りたいと思ってしまいます。一方で、非医療従事者の当事者から見たら、それを提供するメリットなど実感するはずもなく、『埋没していたい』と思ってしまうのも当然のこと、そのギャップを改めてとても考えさせられました。適切な情報提供が必要だと思いました」